NUSでイノベーションチャレンジを開催した(2)

今回のイノベーションチャレンジ、イベントファシリテーションに挑戦するという裏のテーマがあり、人生初のイベントファシリを英語でする、という難易度の高い状況が発生しました。

f:id:n3ni:20190520203152j:image

なぜイベントファシリテーションをやりたかったのか

異なる立場のステークホルダーがアイデアを出し合って成果物を作るようなワークショップが好きなので、そのやり方を違う環境でも試してみたいと思いました。

日本では、社内の会議やワークショップのファシリテーションはよくやっていました。海外の方を交えたワークショップもやったことがあるのですが、英語の壁もありとても難しかったです。シンガポールに来て半年ほどたった今、自分自身のこれまでの経験がどれだけ役に立てるのか、また、英語の壁を乗り越えることはできるのか、もう一度チャレンジしてみたいと思いました。

 

計画  

1.5日は長いので、まずは全日程をいくつかのセッションに区切りました。全体の目標設定と同時に、各セッションごとに目的設定をして、その目的達成を後押しするようなファシリテーションを心がけました。この計画の際、本当に役にたったのが、須藤さん、原さんのこの本。Chapter1の「企画づくりのポイント」は、企画立案時からファシリテーションまで一貫して考え方の指針を与えてくれました。

アイデアソン!: アイデアを実現する最強の方法 (一般書)

アイデアソン!: アイデアを実現する最強の方法 (一般書)

 
1日目:インプットセッション

この日はイノベーションチャレンジのテーマを参加者に共有し、課題の共有とゴール設定を行う日でした。この日の内容は、イノベーションチャレンジの説明、スポンサーさんの課題の説明、情報検索のワークショップでした。

情報検索のワークショップは、今回のイベントのために考えたやり方です。これは、参加者の課題意識の共有のために設定しました。今回はイノベーションチャレンジのテーマの「スマートシティ」からスタートし、「そもそもスマートシティとは何か」「どんな課題があるのか」「現在あるソリューションは何か」にフォーカスして、ネット検索して、その結果の共有を1分で行いました。時間を短く区切ったことで、一気に情報収集を行え、参加者が集中してインプットできたことがよかったと思います。

 

ちなみに、この1日目のイベント終了後、留学第1週目のMC Camp(ネゴシエーション、プレゼンなどコミュニケーションに特化した1週間のプログラム)で同じグループだったMohitが、MC Campのときと全然違う!あのときはあんなに自信なさそうだったのに、今はすごく自信を持って話せてる!と言いに来てくれ、その時点で私の中で一度イベントが終了しかけました。この時点でもう泣きそうやわーて言ってました。同級生のDouglasも同じことを言ってくれ、2日目を乗り切れる大きな自信になりました。

 

2日目:イノベーションチャレンジ

2日目はイベントの本体、アイデア出し、アイデアの絞り込みとチームごとのビジネスモデル作成です。

日本で経験したハッカソン・アイデアソンでは、ハッカソン当日にアイデア出し→参加者がアイデアへ投票してアイデアの絞り込み→チーム編成という流れのものが多かったのですが、今回、ハッカソン朝に参加者がアイデアを事前に提出→デザインシンキングとコーポレートイノベーションセミナーをやっている間にジャッジがアイデアを選定→チーム編成 という流れに変更しました。 

私は個人的に参加者に任せるスタイルも好きで、当初そちらの方式を提案したのですが、シンガポール人に聞いてみると、全員、それはうまくいかないと即答。基本、人のアイデアに投票するという考え方はない(自分が一番)だそうです。場所が違うと、前提が違うことを実感しました。そこを乗り越えるようなファシリテーションイデアも出なかったため、ジャッジに選んでもらうことにしました。

 

チーム編成に関しても同じで、シンガポールハッカソン・ビジネスコンペでは、チームを自分で編成してから参加するスタイルが基本です。ただ、そのやり方だと、自分が知っている人としか組まない。もっと、自分の知らない人とチームアップしてほしいという思いをこめて、当日チーム編成をするスタイルを採用しました。また、チーム編成の仕方に対する思いも参加者に共有しました。

 

もう少しファシリテーションを入れてもよかったと反省しているのは、チーム編成後のアイデアの展開の部分です。基本、各チームに任せ、アイデアの方向性についてジャッジがメンタリングするというやり方をとったのですが、アイデアを発展させる話し合いがうまく進まなかったと感じたチームもあったようです。話し合いのときはこういうことを大切にしてね、という原則を共有してもよかったと思いますし、メンタリング時に話し合いで困っていることはない?と入ってもよかったように思います。こうやって自分がファシリテーター側に回ると、ワークショップは本当に細かいところまで考えられて設計されていることがよくわかります。

 

とはいえ、そこはさすがに考えてまとめることができるMBA生、各チームとも最後のプレゼンテーションは素晴らしく、それぞれに可能性を感じるアイデアを見ることができました。参加者の満足度も4.6/5と高く、必ずしも、満足度は高ければ良いというわけではないけれど、参加者には良いイベントと思ってもらえたことを確信しました。スポンサー様からもよかったと言っていただき、一安心しました。

 

SNSでも紹介してもらった。

www.facebook.com

www.facebook.com

 

イベントその後:個人的によかったこと

その後、参加者に限らず、個人的に話しかけてくれる人が増えました。あのイベントはよかった、と言ってくれたり、参加できなかったけど行きたかった!と言ってもらったり、別のクラブのP/VPがそんなイベントがやってみたかった、と言ってくれたり。

 

個人的にも、1.5日を乗り切った経験は自信になりましたし、英語も上手になったような気がします。やはり伝えたいことを持つと、人は強くなるような気がします。

 

いろいろ大変でしたが、イベントの個々のセッションの意味合いを自分なりに見直し、構成し直したことで、自分の中でも理解が深まりました。まだまだ改善しないといけないところもたくさんありますが、日英混ざったファシリテーション案件がありましたら、積極的にチャレンジしていきたいので、お声がけお待ちしています!